
③家族で揉めないだろうか
中間的立場の人が言い出すと良いのですが---
長男、次男、長女、3人の子どもが相続人でした。
長男は建て替えた実家に住み始めましたが、嫁と母親の中がうまくいかず、両親は次男の家に行くことになりました。次男は父親から分けて貰った土地に自宅を建てていました。
やがて母親、父親の順に旅立ちました。
遺産分割の話をしなければなりません。
長男は (次男の生活費は両親のお金でずっとやってきた。亡くなる前に銀行からかなりのお金をおろしてきたらしい。次男が寄与分なんて主張してきたら言い返してやろう)
次男は (土地はともかく家は自分が住宅ローンで建てたもの。広い土地と建物をただで取得する長男とは違う。両親の世話を見てきたのは私の妻だ。妻や子ども達のためにも不公平な点は主張しなければ)
長女は二人に切り出しました。
『私は、不動産を貰っていないけれど、両親からいっぱい愛を貰いました。私の子ども達も『おじいちゃん、おばあちゃん』と慕っていました。鑑定士さんの話だと、遺産の4割近くが長男の住む土地建物、次男の住む土地は3割くらいの価値、預金は残りの3割くらいになるんだそうよ。』
『そこで、私は預金のうちの半分をいただきたいの。それでも自分の法定相続分の半分くらいらしいわ。そして、後はそれぞれの住む不動産を取得し、残りの預金を二人で分けたらどうかしら。』
長女の提案に対して、
長男は、(たしかに不動産の価値は実家の方があるんだろう。次男よりも多いのだから、色々言われないうちにまとまるのなら---)
次男は、(十数年、お袋が色々とお金を出してくれたから息子達も大学に行かせることができた。妻にも贈与してくれたお金がある。自分からは言いにくいが長男が何も言わないのなら---)
自分の権利よりも少ないものを欲しがる長女が言い出したことに二人は耳を傾けざるを得ません。また、長男、次男共に相手に対し直接はなかなか言えないことを長女が言ってくれたのです。
二人とも、渡りに船と、話はまとまりました。
当事者は、お金のことになるとなかなか言い出せないことが多くあります。他人のことなら簡単に言えることが、こと自分に関わる場合には言いにくいのです。その点は、女性の方が男性よりも話しやすいようです。普段から会話をすることになれているからでしょうか。
裁判所の調停も、敷居が高い、と思う人が多いのですが、第三者から双方の意見や主張、そして解決案を言って貰うと納得しやすいのだと思います。
うまく第三者を活用するのが得策です。
鑑定評価は(有)埼玉不動産鑑定所へ