2024年税制改正により、タワマンの相続税評価に「補正率」という考え方が導入された。  

マンションの場合、土地の権利は専有面積の割合に応じるから、専有面積が同じであれば2階であろうと32階であろうと、所有権持ち分は同じになる。

また、固定資産税の建物評価は構造、仕様が同じであれば階数に関わらず同じ単価で計算される。

すると、マンションの相続税評価は階数に関わらず、同じ評価額になるが、売買のときは上層階が高く、低層階はごく低額なのが実情である。

数年前に裁判で争われたのは、亡くなる直前に2室のタワマンを購入し、死亡相続直後に売却した物件の相続税評価だった。

売却額の10分の1程度にしか相続税評価されず、さらにタワマン購入時の借入金が残っていたから、相続税評価はゼロになったらしい。その後、十億円程度の売却益が相続人の懐に入ったことから、課税当局が伝家の宝刀(総則6項=基本通達の定めによって評価することが著しく不適当の場合の評価)を振るったのである。

あるタワーマンションの売買実例と相続税路線価、建物固定資産税評価額が得られたので、相続税評価額を試算してみた。

   タワマンの相続税評価は次のように計算される

   ①評価乖離率を求める

   (築年数×-0.033)+(対象階数/総階数)×0.239+対象階×0.017+敷地持ち分面積/専有面積*(-1.195)+3.322

   ②評価水準を求める

   評価水準=1/評価乖離率

   ③評価水準が0.6未満の場合     従前の方法による相続税評価額×評価乖離率×0.6

    評価水準が0.6以上1以下の場合  従前の方法による相続税評価額

    評価水準が1を超える場合     従前の方法による相続税評価額×評価乖離率

あるタワマンの例

相続税路線価     640,000円/㎡

建物床面積      78.11㎡

土地の持ち分面積   14.34㎡

建物固定資産税評価額 14,275,000円

1.従前方法による相続税評価額

  4階、24階ともに  土地 9,182,656円 建物14,275,000円 総額23,457,000円

2.税制改正後の相続税評価額

  4階 46,242,000円

 24階 51,028,000円

3.実際の分譲価格

  4階 79,540,000円

 24階 92,900,000円

税制改正前の相続税評価額は、分譲価格の25.3~29.5%であったのが、税制改正により54.9~58.1%まで引き上げられたことになる。

それでも分譲価格から4割の乖離があるから、8割程度のローンを使えば、評価額‐借入金はマイナスになり、節税の効果は残っている。タワマンだけ、多額のメリットがあったのが、普通のマンション並みになった、ということだろう。